エロス断想

猫と美人を描いてゐます

詩と真実

快晴、風あり。春二番?
お嬢猫、ハラペコの様子。一心不乱にカリカリを食べてゐた。
大胸筋、腹筋鍛へる。


ちくま哲学の森6「詩と真実」拾ひ読み。美学に関するアンソロジー。興味深し。二篇抜粋す。

田中美知太郎「美について」
恐らくわたしたちの生活にとって、一番近い美といふものは、人間の美なのではないだらうか。プラトンがエロースの初歩を、肉体の美しさに対するものから始めてゐるのも、現実的な洞察と言はなければならない。そして美は、むしろ女性の徳であると言ってもよい。わたしたちの美に対する眼は、まづ美しい人に対して開かれる。

萩原朔太郎「蕪村俳句のポエジイに就いて」 蕪村の佳句『凧きのふの空の有りどころ』の評釈。私、三州もこの句は大傑作であると思ふ。時空を超越した奇跡的な発句。『凧』は、イカノボリと読みます。
北風の吹く冬の空に、紙凧が一つ揚って居る。その同じ冬の空に、昨日もまた紙凧が揚がってゐた。蕭条とした冬の季節。凍った鈍い日ざしの中を、悲しく叫んで吹きまく風。硝子のやうに冷たい青空。その青空の上に浮んで、昨日も今日も、寂しい一つの紙凧が揚って居る。飄々として唸りながら、無限に高く、穹窿の上で悲しみながら、いつも一つの遠い郷愁が漂ってゐる!



■三州生桑HP■
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