エロス断想

猫と美人を描いてゐます

照葉狂言

曇天、終日大風、車が揺れるほど
昨日立冬なり、すでに冬


泉鏡花照葉狂言』読了、といふより音読す。詩的傑作。鏡花の小説は音読しないと解らない。悲恋の通俗小説ではあるが、このやうな読みにくい小説を、明治の学生たちが喜んで受け入れてゐたのには驚く。ちなみに鏡花(1873年生まれ)の『照葉狂言』が書かれたのは1896年、漱石(1867年生まれ)の『吾輩は猫である』は1905年。たった10年ほどで、これだけ文体の変化があったか
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「冴かなる眼にキとわれを見しが互に肩を擦合はせて小走りに入るよとせしに、つかつかと引返して冷たき衣の袖もてわが頭を抱くや否やアと叫ぶ頬をしたたかに吸ひぬ」『照葉狂言


「吾輩がこの家へ住み込んだ当時は、主人以外のものにははなはだ不人望であった。どこへ行っても跳ね付けられて相手にしてくれ手がなかった。いかに珍重されなかったかは、今日に至るまで名前さへつけてくれないのでも分る」『吾輩は猫である
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美人図、鉛筆、コンテ、45分


つくづくこの街がイヤになるなり
詩もなく絵もなく花もなく…
ギャルとデカい車とパチンコ屋があるのみ


もし私が、詩も書かず絵も描かず本も読まない男だったら…



■三州生桑HP■
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