エロス断想

猫と美人を描いてゐます

J.M.Coetzee

早朝小雨、遠雷聞こゆ、曇天のち晴れ
30分ジョギング。中途、ビールの空き缶7本拾ふ。臭い
アンリのコートは欲しいやうな気もする。Lサイズなら



J・M・クッツェー(1940- )「エリザベス・コステロ」読了
南アフリカ生まれ、2003年ノーベル文学賞受賞。ハンサムな作家だ。かういふ風に年をとりたい。エリザベス・コステロといふ66歳の女流作家が、世界中を飛び回って文学論を戦はせたり、講演したり・・・これは小説だらうか? 読者の知性を試すやうな、不遜な作品。
若きエリザベスはといへば、詩人の上にかがみこみ、乳房をぶらぶらさせながら、彼の生殖器をせっせと愛撫してゐるが、このやうな光景をギリシャ人ならなんと名づけるだらう? エロスでないことは間違ひなし・・・さう呼ぶにはグロテスクすぎる。隣人愛アガペー? これも違ふだらう。といふことは、ギリシャ人には名づけようにも適当な言葉がないといふことか? キリスト教がぴったりの語をもって現はれるのを待つしかないのか? 同胞愛カリタスといふ語を。



幻滅も救ひとなりうる
次の段階に進めるから


美人は努力をしないものだ。何もしなくても愛され求められるから。しかし、美人がぼんやりとしてゐる間、他の女は自分を磨いてゐる。もし、美人が切磋琢磨したら・・・? 彼女は女神に等しい存在になるだらう
傲慢な美人と謙虚な美人
二面性、裏表


さぁ〜て、祭りだ♪ 祭りだ♪
WJが見られるか
ハッピ姿が見られるか
わっしょい! わっしょい!
「お客様、お静かに」
・・・しょぼーん





十年


十年後、携帯電話は雲母のやうに薄くなってゐるだらう


十年後、この冷たく暗い部屋で、ホワイトジーンズを履いたあたしは何をしてゐるだらう?


あの詩人は結婚してゐるだらう
フランス文学科に学ぶ女子大生と不幸な結婚を
しかし彼女は子を生むだらう
月光色の美少年を

そしてあたしは、日に日に揮発してゆく若さを必死につなぎ止めようとしてゐる

薔薇色の化粧水より、薔薇色の言葉が必要だったのに!
否、あの人にこそ私の薔薇色の微笑みが必要だったのに!


 生温い口臭を
 漂はせながら
 誓はれた未来


十年間、私は束縛され、つねに監視されてきた


十年間、あたしには新しい友人が一人もできなかった


とうに飽きられた娼婦
或いは不健康な家政婦


隠しておいたラヴレタアが引き裂かれる時、あたしの人生は終はる
あとには退屈なガソリンがあるばかり


十年前、ホワイトジーンズを履いたあたしはめくらの子猫だった
細く、小さく、しかし鋭い爪で、あの詩人のハートを・・・
赤ン坊のお尻のやうに柔らかなハートをズタズタに切り裂き、煙草の火を押し付けてやった
あの詩人が悶え苦しむのを見て、あたしは甘い優越感を覚えた





うふふ


薔薇色の微笑みですって







馬鹿な詩人ね







■三州生桑HP■
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