エロス断想

猫と美人を描いてゐます

詩人漱石

曇り時々晴れ、まだまだ蒸し暑し
明日の午前中は雨らしいが・・・予報は鬼のやうに当たらない



吉川幸次郎漱石詩注」拾ひ読み。愛読書なり。十年以上前、たまたま寄ったO町の図書館で、偶然手にした漢詩の本に漱石漢詩が載ってゐた。それまでも漢詩には少々興味があり、気に入った詩をノートに書き写したりしてゐたのだが、自分でも作ってみようと思ひ立ったのは、以下に掲げる漱石の七絶に、その時出会ったからである。難しい漢字を使ふことなく、禅味のある詩境に達してゐる


●題自画
唐詩読罷倚闌干
午院沈沈緑意寒
借問春風何処有
石前幽竹石間蘭
●自画に題す
唐詩を読み罷(ヲ)へて闌干に倚る
午院沈沈として緑意寒し
借問(シャモン)す、春風は何処(イヅコ)にか有ると
石前の幽竹、石間の蘭
●自画に題辞を書く
唐詩を読むのをやめて、欄干によりかかり
昼間の静かな庭をながめてゐると、庭木は何とも寒々しい
ちょっと聞くが、春風はどこに行ってしまったのだらう?
石の前の幽竹と、石の間に生えてゐる蘭に吹いてるよ・・・



薔薇色に微笑む人に・・・
君ひとり信じてくれればそれでよし世人すべてに否定されても
見返れば千年間の孤独あり見渡せばまた千年の闇
独酌の酔ひにまかせて歩みよればおぼろおぼろの君の面影
夢見れば枕も濡れる夢見れば鏡も濡れる秋の夜長は




■三州生桑HP■
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