エロス断想

猫と美人を描いてゐます

青炎抄

快晴柔風。猫には会はず。


内田百輭「青炎抄」他読了。不気味な悪夢を名文でつづる作家。私も影響を受けてゐる。百間と志賀直哉の歿年は同じく1971年。ほぼ同時期を生きた作家であるのに、彼らの作風の違ひには瞠目せざるを得ない。
夜中に寝苦しくなって、寝床から起き出した。後で気配がした様に思ったので振り向いたら、台附きの蓄音器の上に脱ぎ掛けた昼間の著物が、丁度人の坐ってゐる位の高さに見えたので、私が後にゐる様な気がした。自分が後にゐる様な気がする、ともう一度思ったら、身動きが出来なくなった。さうして本当にその著物が動き出した。そろそろと坐り直し、前を掻き合はせゐるのが私にはよく解る。




■三州生桑HP■
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