エロス断想

猫と美人を描いてゐます

ひばり館

秋高し
萩散れど、金木犀は盛りなり。強烈な芳香を楽しむ
40分ジョギング。爽快なり。朝日に向かって走れ! 短パンがずり落ちてくる。ゴム紐を替へろ!
自由に走ることができるのは本当に素晴らしい。何年も老人病棟に通ってゐると、しみじみさう思ふ


本屋で立ち読みしてると、真横に鬱陶しいカップルが。雑誌を読んでる女の子に、ニヤけた男が女の子に盛んにちょっかいを出してゐる。「なぁ、なぁ、ええやん、なぁ、ええやろ、なぁ」キャバクラで口説いてる感じか。キャバクラって行ったことないけどね。小ぎれいな女の子だったけど、その程度の女なのだらう。


アントニア・アルスラン「ひばり館」読了
作者はアルメニア系イタリア人。第一次世界大戦中のトルコにおけるアルメニア人の大虐殺(1915年)を描く。今月の10日に米下院外交委員会の「アルメニア人虐殺」を非難する決議案が可決されました。恥づかしながら、この問題について全く知らなかったのですが、本書を読んでよく解りました。ナチスよりも早くジェノサイドは行はれてゐたのですねぇ・・・。物語は二部構成。前半はアルメニア人社会の牧歌的な日常生活が、後半は目を覆ひたくなるやうな虐殺の様子とスリリングな逃避行が描かれます。美しき処女アズニヴの運命には涙せずにはゐられませんでした・・・
手持ちの食料は、二日前の夜に一人の憲兵が一夜の慰みにアズニヴの体を求めた時、憲兵の馬の鞍から何とか盗み取ることに成功した一袋のピスタチオだけだった。彼女は形だけの悲鳴を上げ、それから一所懸命に見逃してくれと訴へてから、憲兵に体を許した。そして、憲兵が彼女の体の上で下品な声を上げてゐる間に、辺りを見まはし、袋を見つけた。中に何が入ってゐるのかはどうでもよかった。食べられる物でありさへすればそれで十分とアズニヴは思った。





Good times bad times

今日は良いことと悪いことがありました
まづは良いことからお話ししませう

私は、セルフサービスのガソリンスタンドで、ぼんやりとガソリンを入れてをりました
すると、見知らぬお爺さんに声をかけられたのです
K駅に行く道順を教へてほしい、と言ふのでした
私は困りました
あの駅は各駅停車の電車しか停まらない小さな駅で、細い路地を通らなければ辿り着けないのです
老人は、この街のことを何も知らないと言ひます
「それでは教へやうがありませんよ」
と私は言って、駅のある方角と、おほよその距離だけ教へ、車に乗りこみました

運転席に座り、シートベルトを締め・・・
その時なぜか、ほんの10分前に起こった「悪いこと」が脳裏をよぎりました
私は、車から降り、老人の乗る車に駆け寄って言ひました
「先導しませう。僕の車について来て下さい」
老人はとても喜んでゐました

これが、今日の良いことです
さて、悪いこととは、或る女性にふられたといふこと
もう、彼女に挨拶をすることも許されません





■三州生桑HP■
http://www.h4.dion.ne.jp/~utabook/