エロス断想

猫と美人を描いてゐます

ロサリオの鋏

終日秋晴れ、天高し、黄色い銀杏がコロコロ落ちてゐる
懸垂50回


ホルヘ・フランコ(1962- コロンビア)「ロサリオの鋏」読了
美しくも凶暴なロサリオと二人の男の物語。メリメの「カルメン」を猥雑にした感じ。心の琴線には触れず。「Jorge」を「ホルヘ」と読むのですねぇ
キスの最中に、至近距離から撃たれた銃弾をまともにくらったロサリオは、恋の痛みと死の痛みとを取り違へてしまった。唇を離し、ピストルを見たとき、何が起こったのか理解した。「体中に電流が走ったの。キスのせゐだと思ったのに・・・」彼女は病院に向かふ途中で、息も絶え絶えに俺に言った。「ロサリオ、もう話すのはやめろ」と俺が言ふと、彼女は俺の手をしっかりと握りながら、お願ひ、助けて、と哀願した。「死にたくないのよ、死ぬのはいや」俺は元気づけようとしてあれこれ言ったが、彼女はごまかされなかった。瀕死の状態なのに美しく、この上なく神々しいまま血まみれになって手術室に担ぎこまれていった。



芸術の秋
恋の秋



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