エロス断想

猫と美人を描いてゐます

花曇り

晴れたり曇ったり雨が降ったり
今日ぐらゐの冷ややかさが一番過ごしよい
桜は七分咲き


トーマス・マン(1875-1955)「ブッデンブローク家の人びと」読了
ドイツの裕福な商人一族の没落、滅亡してゆく様子を四代にわたって描く
飽くまでも筆致は坦々としてゐて、あざとさが無い
ゆゑに劇的な展開などなく、恋愛の描写もほとんどない
カタストロフへの持って行き方は筆が滑ってゐる
北杜夫氏はこの小説に心酔してゐるが、己の一族とブッデンブローク家を重ね合はせてゐたのだらう
その収穫である「楡家の人びと」は傑作


ウィトゲンシュタイン(1889-1951)の伝記を拾ひ読み
一言で言へば、天才にして奇人
彼の難解な論理哲学は、私ごときが独学で理解できるやうな代物ではない
「本を書かうなどと思はずに、自分のために考へてゐる時には、私は主題をめぐって躍動してゐる。これが私にとって唯一自然な思考方法なのだ。何らかの系列に沿って考へ続けてゆくのを強要されるのは、私にとって苦痛だ。でも今はとにかくそれを試みるべきなのか。私は、ひょっとすると全然価値のない考へを整理するのに、口では言へないやうな苦労をしてゐる」


普段は馴れてゐないフワフワ猫が、私の姿を見るなり飛んで来た
よほど、おなかが減ってゐたのだらう
煮干し入りカリカリを与へておく
今日は不思議と空き缶を見なかった
花見シーズンだから、ゴミ拾ひを徹底してゐるのかも知れない


■三州生桑HP■
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