エロス断想

猫と美人を描いてゐます

自由律

早朝小雨、のち快晴、風あり、晩冬のごとき寒さ
木蓮ムスカリヒカンザクラ満開


自由律の俳人たちは猫をどう扱ってゐるか、種田山頭火と尾崎放哉の句集をザッと閲す。両者とも「猫の恋」のやうな月並みな表現はほとんど見られない。「月に雲」「梅に鶯」「花見と酔客」・・・いつまでもこんなありふれた句を詠んでてもしやうがないですよね
まづは山頭火。全句集をあらためたわけではないが、猫の句は少ない。旅の人生に猫はふさはしくないか。四句抜粋
秋の夜や犬から貰ったり猫に与へたり
火の番またも鳴らし来ぬ恋猫の月
夢深き女に猫が背伸びせり
月夜の水を猫が来て飲む私も飲まう
ついで放哉。句が多すぎるため索引で調べる。猫の句を詠んではゐるが、あまり愛情は感じられない。猫嫌ひだったのかも。九句抜粋す
猫の大きな顔が窓から消えた
どっかで猫が鳴いてる
元日の泥棒猫を叱りとばす
猫の眼がきらひだ
猫を叱る声がする昼間寐てゐる
八ツ手の月夜もある恋猫
猫が斜に出て行った庫裏の昼すぎである
猫の足跡に笑はれて居る
猫の足音がしないのが淋しい



子猫の湿り気放り出したくなる 三州



コンテ鉛筆と擦筆、一時間。サテ誰でせうか?






■釈三州HP■
http://www.h4.dion.ne.jp/~utabook/