エロス断想

猫と美人を描いてゐます

駅前旅館

晴れのち曇り、ぬくし
子猫二匹にレトルト&カリカリ。まだ1歳になってないが随分大きくなったな。初めての冬が暖冬でよかったね。


井伏鱒二(1898-1993)「駅前旅館」読了。老舖旅館の番頭たちの生きざまをユーモラスに描く。面白かったけれど、宮本常一の「忘れられた日本人」に比すと、やはり作為的か。小説だから仕方ないけど。宮本常一のドキュメンタリーは森鴎外渋江抽斎に通ずるものがある。
ふと女の一人が、群像から抜け出して風呂の中に飛びこむと、いきなり私の二の腕をつねりました。振り向くと、どこで見たか覚えのない女でした。裸になった女といふものは、年恰好もよくわかりません。「おい於菊、のぼせるなよ、ここへおいで」群像の方の男は呼ぶのですが、「大丈夫よ、ぬるま湯なんだもの」於菊といふ女はお湯の中で、またもや私の腕をつねって、「でも、やっぱり熱いわ。どうせ、あたいは熱いの」と、謎のやうなことを言ひ残して、お湯から出て行きました。
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Love is being stupid together. Paul Valery
恋とは一緒にバカになることだ。 ポール・ヴァレリー
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■三州生桑HP■
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