エロス断想

猫と美人を描いてゐます

百年の孤独

コロンビア人のノーベル賞作家、ガブリエル・ガルシア=マルケス百年の孤独」読了
興味深く読んだが、正直に言ふとよく解らなかった
戦争と平和」や「ブッデンブローク家の人びと」のやうな普遍性は無いと考へる
譬へて言へば、島崎藤村の「夜明け前」を外国人が、江戸時代から明治維新にかけての日本に関する予備知識無しで読むやうなものか
中南米でよく読まれてゐるのは分かるが、世界的に売れたといふのは南米文学ブームだったからではないかな
日本でも大分売れたやうだが、最後まで読み通せた人はどのくらゐゐるのだらう・・・
「アウレリャノは正気に返ったその一瞬に、過去の圧倒的な重みに耐へてゆく力がもはや自分にはないことを悟った。自分と他人のノスタルジーの矢で深手を負った彼は、枯れた薔薇になほも張りついてゐる蜘蛛の巣のねばり強さや毒麦のしつこさ、明るい二月の朝の空気の辛抱強さに驚嘆した。その時である。赤ん坊が目に入った。ふくれ上がったまま干からびた皮袋のやうな死体が、石ころだらけの庭の小道を、懸命な蟻の大群によって運ばれてゆくところだった」





■三州生桑HP■
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