エロス断想

猫と美人を描いてゐます

先駆者たち

薄曇り時々太陽が顔をのぞかせる、無風
挿し芽で増やしたポーチュラカの苗が30本以上になった・・・丈夫な花なり


中野善達編著「障害者教育・福祉の先駆者たち」読了。障害者教育の先達五人の伝記集。明治維新後の障害者福祉の発展は、キリスト教の奉仕精神が無ければかなり遅れてゐたでせうね。知的障害児の父と称へられる糸賀一雄も洗礼を受けてゐる
・・・しかし、障害児、特に重度や重症の子どもたちの福祉に対して、「生産力のない人間を生産力のある人間が面倒をみて、なにも生み出さない」といってはばからない状況がありました。それに対して、糸賀は、次のやうな事実を強調してゐます。「脳性マヒで寝たままの十五歳の男の子が、日に何回もおしめをとりかへてもらふ。おしめ交換のときに、その子が全力をふりしぼって、腰を浮かさうとしてゐる努力が、保母の手に伝はった。保母はハッとして、瞬間、改めて自分の仕事の重大さに気づかされたといふ」



ひとつ思ひ出した
もう小学生の時の同級生なんてほとんど憶えてゐないのだが、ひとり忘れられない女の子がゐる。彼女の名はH・・・隣りのクラスの女の子だった。しゃべったこともないのだが
担任の先生が話してくれた・・・「隣りのクラスにHさんってをるやろ? あの子はエラい子なんよ・・・」
Hさんのクラスには知的障害児がゐた。その子が授業中に突然もどした時、Hさんは黙って雑巾とバケツを持ってきて淡々と処理したさうだ。その間、先生と生徒は何もできずに固まってゐたとか・・・その話しを聞いた時、小5の私はハッと何かに気づいたのだらう


Hさんの美しい印象は、私の脳裏に永久に刻み込まれてゐる・・・彼女は、私の理想像のひとつだ
見習ひたい



■釈三州HP■
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