エロス断想

猫と美人を描いてゐます

教養

曇天、風あり

図書館に寄りて七冊借る
乾ルカ『蜜姫村』
日垣隆『いい加減にしろよ(笑)』
山下恒夫『大黒屋光太夫
茂木健一郎甲野善紀『響きあふ脳と身体』
『猫のほんね』
大槻ケンヂ『我が名は青春のエッセイドラゴン』
セザンヌの水彩』


教養といふものは一代で身につくものではない。読書好きの子は物知りになるかも知れないが、両親と祖父母が読書家でなければ、本質的な教養は身につかない。医者や教師や芸術家の家系が何代も続くのは、ただに遺伝のせゐだけではなく、育った環境に拠るところも大であらう。祖父母と両親の蔵書に囲まれて育てられた子は、自づとクリエイティブな理解力が身につくものだ
子は親の背中を見て育つ…道端でPSPやケータイに夢中になってゐる子の親は、やはりテレビやパチンコでヒマつぶしをするのに違ひない。英才教育の塾に行かせても、そんなものは付け焼き刃。自分が英会話の勉強をさせられてる間、親がパチンコに行ってたら、子供もバカバカしくなるわね
もしあなたが本を読まない人ならば、残念ながらあなたの子も無教養になるだらう。しかし、今からでも遅くはない、本を読み始めれば、あなたの孫は教養のある人間になるかも知れない。その可能性はある。植林と同じだ…林業を営む人たちは、孫の代のことを考へて樹を植ゑるのだ
…図書館で本を選びながら、そんなことをつらつら考へた
わが街は、江戸時代からつづく無教養な田舎である。明治維新も完全にカヤの外。大正時代だったか、或る新聞に「○○市は蓄妾地」と揶揄されたことがある…つまり、石炭成金たちが、日本中から女の子を買ってきて妾(愛人)にしてゐるといふことが、全国に知れ渡ってゐたといふことだ。そんなことにしかお金を使へなかったのか…何とも下品なことである
現在、県内第二位の人口を誇りながら、まともな古本屋も美術館もない。文化人を呼んで講演してもらったところで、もうどうしやうもならないレベル。男も女もデカい車のことしか頭にない
私は幻滅するといふより、諦観してしまった。孫のことを考へて樹を植ゑる老人を、わが街の住人はバカにするだらう…「樹を植ゑて何になる? そんな金があったらポルシェを買ふぜ!」「詩を読んで何になるの? 本を買ふお金があったらタバコを買ふわ!」
…なるほど、成金と愛人の子孫らしい考へ方ではあるな




ヌード、鉛筆、10分

美人画、鉛筆、60分




『三州生桑詩画集猫のパンセ』
■三州生桑HP■