エロス断想

猫と美人を描いてゐます

歌行燈

曇り時に寒雨

泉鏡花『歌行燈』読む。翻訳不可能な傑作。学生時代に読んで感動したけど、今読むと、複雑な気持ちになる…同じ人間が書いたものとは思はれぬ。現代日本文学の頂点は、鏡花かも知れぬ
「あい」と僅かに身を起すと、紫の襟を噛むやうに、ふっくりしたのが、あはれに窶れた、頤深く、恥かしさうに、内懐を覗いたが、膚身に着けたと思はるる、胸やや白き衣紋を透かして、濃い紫の細い包、袱紗の縮緬が翻然と翻ると、燭台に照って、颯と輝く、銀の地の、ああ、白魚の指に重さうな、一本の舞扇。



ラフな美人画、鉛筆、30分。かういふ荒っぽい絵も好きなのだけれども、モデルに申しわけないやうな気もして


■三州生桑HP■
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