エロス断想

猫と美人を描いてゐます

優雅なハリネズミ

曇天、一時小雨、風無く蒸し暑い


フランスの女流作家・ミュリエル・バルベリ(1969- )「優雅なハリネズミ(2006)」読了。小難しい哲学用語がポンポン出てくるなぁと思ったら、作者は元哲学の先生とか。己の知性を隠しつつパリの高級マンションの管理人に徹する中年の未亡人ルネ、人生に絶望し13歳の誕生日に自殺すると決めてゐる天才少女パロマ・・・或る日、そのマンションに入居してきた初老の日本人紳士オヅだけが彼女たちの才能と知性を見ぬき・・・。本国でベストセラーになっただけあって、かなり面白かったです。著者はかなりの日本マニアらしく、日本文化と日本人オヅを相当美化してをり、読んでてちょっとこそばゆくなるほど。少しハードルの高い小説ですが、日本人なら必読でせう。日本好きが高じて著者は去年から京都に住んでるさうです
「アルサン氏の部屋を買ったのは日本人ですって! 名前はカクロウ・オヅ! わたしのツキなんて、どうせこんなものです! 自殺するといふときになって、こんなことが起こるなんて! 十二年半、乏しい文化に耐へてきて、そこへせっかく日本人が現れたのに死ぬなんて・・・そんなのあんまりです」


京都在住のバルベリさん
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200810180133.html







■釈三州HP■
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