エロス断想

猫と美人を描いてゐます

祖母を見舞ふ

好天、紫外線強し、肌に突き刺さるやうな日差しなり
明日は祖母の一周忌、白饅頭を買ふ
母の日と祖母の命日も兼ねて、親戚から花やお菓子が届く。カサブランカも、一気に五、六輪咲き始めた


「5/11」で祖母の死亡届を出してゐるが、実際は一日前かも知れない。看護婦さんから緊急の電話がかかってきたのが、5/11になったばかりの深夜。彼女が真夜中の見回りをした時にはコト切れてゐたのだから、実際には5/10の遅くに亡くなってゐたのだらう
何年も週末に祖母を見舞ったことを思ひ出す・・・このブログにもよく書きましたねぇ・・・
ちなみに、このブログ内で「祖母を見舞ふ」といふ言葉を検索してみましたら・・・



2008/04/06「祖母を見舞ふ。「ヒゲを伸ばしてるんですけど、分かりますか?」と聞くと微笑んでくれた。祖母の笑顔を見るのは久し振り。病院の近所に咲いてゐる桜を一輪取って持って行き、祖母に見せる。「桜が満開ですよ」笑顔。花泥棒だね。・・・もう手を握ることしかできない」
2008/04/12「祖母を見舞ふ。「手をギュッと握ってみてください」かなりの力だった。まだまだ大丈夫か知ら。90だからねぇ。ラジオをイヤフォンで聞かせる。刺激はそれしかない。「聞こえますか?」「ああ・・・」「もう少し音を大きくしますか?」「ああ・・・」」
2008/04/13「祖母を見舞ふ。うつらうつらしてゐる。手を握り「力を入れてみて下さい」といふと力強く握り締める」
2008/04/19「祖母を見舞ふ。調子悪し。呼びかけには応へるが、会話はできない。うつらうつらしながら手を握るのみ。誤飲性肺炎と診断された頃は会話もできたし、手を添へれば何とか歩くこともできた。しかし、それからほんの数週間で寝たきりだ。何も食べてないのだから、力も入るまい。食べられないから点滴に、そして腹に穴を開けて胃に直接流動食を・・・。どんなに健康な人間でも、こんなことされりゃ、生きる気力もなくなるよ。どうしやうもならん。延命治療恐るべし」
2008/04/20「祖母を見舞ふ。食べすぎて胃が痛いといふ。祖母は、もう何も食べられないのだから夢うつつなのだらう。庭の藤の花をデジカメで撮ってプリント。「分かりますか? 家の庭はこんな感じですよ」ほんの少し微笑む。その写真を、祖母が見ることができる所に貼り付けておく。手を握る。熱し。うつらうつら」
2008/04/26「祖母を見舞ふ。呼びかけても、力なく返事するのみ。寝たきりなり。祖母のために置いてゐるラジオの、イヤホンがスピーカーからいつも抜けてゐる。をかしいなぁと思ってたら、そのままにしておいてくださいとのこと。つまり、ラジオの音が他の患者さんにも刺激になると。そんな病室なんだね。ああ・・・」
2008/05/02「夕刻、祖母を見舞ふ。いびきをかいて寝てゐた。気持ちよささうに寝てゐた」
2008/05/03「祖母を見舞ふ。喘鳴あり。痰がからむか」
2008/05/05「祖母を見舞ふ。ひたすら眠ってゐる」
2008/05/10「祖母死す」





■釈三州HP■
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