エロス断想

猫と美人を描いてゐます

幾度目かの最期

曇り一時晴れ、寒々しい一日
ミケ母さんまたまた妊娠す。まだ子猫が親離れしてゐないのに・・・かなりの年だとは思ふがモテモテである。あと一、二ヶ月で産まれるだらう。楽しみなり


久坂葉子(1931-1952)「幾度目かの最期」読む。衝撃作。こんなの読んだことない。私小説でもあり、書簡体でもあるが、強ひて言へば狂気の遺書文学か。芥川の「歯車」は凄然とした傑作だが、この作品は徹頭徹尾神経症的であり、活字が痙攣してゐる。小説であることを放棄した、奇跡的な散文。十八歳の時に書いた作品が芥川賞候補になり、その三年後に列車に飛び込み自殺。男爵家令嬢で、文学、音楽、絵画に才能を発揮。恋多き女にして、十六歳から、薬、リストカットと何度も自殺未遂を繰り返す。写真が載ってゐるが、相当の美人である。「幾度目かの最期」を書き上げた当日に自殺。絶筆を仕上げた直後に、本当に死んだ作家なんてゐないのではないか。しかも二十一歳で・・・思ふに自殺の理由など元々無かったのではないか?
苦しむのは、私もうまっぴらなんです。苦しむのは嫌よ。私云ひましたね。三人の男の人のことを。三人のちがった愛情を、それぞれ感じながら、私、罪悪感に苦しむって。私、この三月、薬をのんで、失敗して生きかへりました、妻のある人を愛したんです。



■三州生桑HP■
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