エロス断想

猫と美人を描いてゐます

小説を読みながら

曇りのち晴れ、終日暖かく、初春のごとし
クリスマスカードを見てみる。やはりヨーロッパのカードはセンスが良い


養老孟司「小説を読みながら考へた」再読。未読かと思ったら、内容を憶えてゐた。書評集なり。私もよく読むけれど、養老先生には敵はない
自分の一生は一度しかなく、すべての瞬間はふたたび戻ることはない。さうした不可逆の時間のなかで、一回限りの決定をするとき、その根拠となるものが「倫理」である。定義により、それは法やマニュアルのやうな、一般的なルールとは折り合はない。一回限りの事象、それを「決定する」判断に、本来的には一般性はない。しかしそこに「ある一般性」をあへて想定するとき、倫理といふ言葉が成立する。さうした一回性を描きながら、しかも一般的であるもの、それがもともと文学なのである。


きらめく薔薇水晶


■三州生桑HP■
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