エロス断想

猫と美人を描いてゐます

多甚古村

晴れのち曇り、午後小雨ぱらつく
ミケ母さんと二匹の子猫に会ふ。何とベンチに、畳んだセーターとタオルが置いてあり、その上でミケが香箱を組んでゐた。奇特な人もゐるものなり。子猫は重なり合って眠ったまま・・・
ドクロデザインのニットキャップをかぶった女子高生を何人か見る。流行ってるのか知ら


井伏鱒二(1898-1993)「多甚古村」読了。とある田舎村で起こる悲喜劇をつづる、若い駐在さんの日記。上質のユーモア小説なり。面白し。山本周五郎の「青べか物語」を想起す
「この犯人は、とても浪花節がうまかったよ」と古賀刑事が私たちに云ふと、犯人は「よく覚えてをられますなあ、では一つやりますさ」と坐りなほし、目を閉ぢて咳ばらひをした。そして声だめしの唸り声を徐々に高くして「さすが清水の次郎長は・・・」とやりだした。いったい私は、音曲のうちで浪花節が一ばん嫌ひだが、この犯人にとっては浪花節は芸術なのだらう。大声を出すなと叱りたいのを我慢してゐると、犯人はいい気持さうに歌ひつづけた。



■三州生桑HP■
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