エロス断想

猫と美人を描いてゐます

野分

昨晩、就寝中にムカデに右肩を刺される。3センチほどの小さい百足だったが、結構痛かった。まだ腫れてゐる


終日陰、夕刻細雨
久しぶりにお嬢猫に会ふ。草むらの中から、ニャァ〜と鳴きながら飛び出してきた。憶えてゐるのだなぁ。古巣に誘導しようと思ったが、頑として動かない。もうテリトリーが決まってゐるのだらう。レトルトにパクつく



夏目漱石「野分」読了。「野分ノワキ」とは、台風、または、秋から初冬にかけて吹く強風のこと。秋の季語。熱血先生の演説がクライマックス。かういふのを読むと、漱石といふ人は真面目で、理想主義者だったのだなぁと再認識する。この小説を読んで、志賀直哉や武者小路が感動したのは分かる。谷崎はバカにしたかも知れない
この物質的に何等の功能もない述作的労力の裡には彼の生命がある。彼の気魄が滴々の墨汁と化して、一字一劃に満腔の精神が飛動してゐる。この断篇が読者の眼に映じた時、瞳裏に一道の電流を呼び起して、全身の骨肉が刹那に震へかしと念じて、道也は筆を執る。吾筆は道を載す。道を遮るものは神といへども許さずと誓って紙に向ふ。誠は指頭より迸って、尖る毛穎の端に紙を焼く熱気あるが如き心地にて句を綴る。白紙が人格と化して、淋漓として飛騰する文章があるとすれば道也の文章は正にこれである。



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