エロス断想

猫と美人を描いてゐます

家なき子

早朝小雨、曇りのち晴れ、残暑あり



エクトル・マロ(1830-1907仏)「家なき子」半分まで読む。活字も大きいし展開もスピーディだからどんどん読めますが、これは小説といふよりも講談ですな。「足長おぢさん」や「赤毛のアン」のカテゴリーに入る、いはゆる孤児もの。日本文学で孤児を扱ったものといふと、貴種流離譚になりますね。孤児院といふ制度が無かったからでせうか
二度目の鞭が振り下ろされると、叩かれた子は苦しさうなうめき声をあげ、三度目の時には、けたたましい悲鳴をあげた。するとガロフォリが手をあげた。リカルドーは、鞭を振り上げたまま、待ってゐた。ぼくは、てっきり許してやるのだと思った。ところが、許すどころではなかったのだ。「そんな声をたてられると、おれがどんなにいやな気持ちになるか、おめへには分からねえのか? これから声をたてやがったら、そのたびに、もうひとつ鞭で叩かせるぞ。さあ、リカルドー、つづけてやれ!」リカルドーは、腕を振り上げた。そして、かはいさうな子どもの背中に、鞭がピシピシ振り下ろされた。「母ちゃん! 母ちゃん!」と、その子は叫んだ。





■三州生桑HP■
http://www.h4.dion.ne.jp/~utabook/