エロス断想

猫と美人を描いてゐます

出世景清

快晴。空気はカラリと乾いてゐる


近松門左衛門「出世景清」読了。この作品以前のものを古浄瑠璃と呼ぶ。今に伝はる浄瑠璃人形は一体を三人がかりで操るが、近松存命の頃は一人だったらしい。恐らくは、芸術といふより見世物に近かったのではないか。この「出世景清」の筋立ても相当あざとい。グロテスクで残酷で、最期には不条理なカタルシス
なう悲しや、骨も砕けて息も絶え入り候、御慈悲に命をたすけ下されと声をあげ歎きける、景清手をたたき打ち笑ひ、それがしが褒美には、広い国を取らせんと、両足取って逆様に、引きあげ肩を踏まへて、えいやっと裂きければ、胴中より真二つに、さっと裂けてぞのきにける。


■三州生桑HP■
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