エロス断想

猫と美人を描いてゐます

耕治人

快晴。コートが必要なのは朝のうちだけ。暖冬だね。
爺さん猫に会ふ。ビッコひいてた。ちょっとゲッソリしてたし、身体能力が落ちてゐるのだらう。レトルト&カリカリ。


耕治人カウハルト(1906-1988)「天井から降る哀しい音」「どんなご縁で」「そうかもしれない」読了。次第にボケてゆく妻と、病に倒れる己を描く連作短編。いはゆる「命終(ミャウジュウ)三部作」。耕治人って詩人かと思ってたのですが、全集七巻のうち、小説随筆が六巻、詩は一巻のみ。
二人の女性によって、その浴槽から、他の浴槽に移され、頭、顔、胸、腹、両脚と、石鹸で洗はれてゆく家内が、涙でかすんだ私の眼に、この世ならぬ美しいものに変ってゆくやうに思はれた。そのためか帰りの車のなかで、寝袋の家内の顔を見てゐるうち、車がそのまま火葬場に直行し、家内も私も焼かれ、灰となり、空に舞ひあがることが出来たら、こんなに幸せなことはない・・・そんなことが浮んだのであった。


月が変はって気分も一新したいところだ。



■三州生桑HP■
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