エロス断想

猫と美人を描いてゐます

うるさい日本を哲学する

冬晴れ、青空広がる。猫見当たらず。


中島義道と加賀野秀一の往復書簡集「うるさい日本を哲学する・偏食哲学者と美食哲学者の対話」拾ひ読み。アカの他人に注意することの、そして自分の主張を通すことの難しさ・・・。
たとへばマクドナルドでこんな注文をするといたしませう。「ビッグマックの上の段を、ビーフではなく、フィレオフィッシュのフライにしていただけませんか?」すると日本ではおほよそ以下のやうな会話が続きます。「お客様、申し訳ありませんが、当店ではメニューにあるものしかお作りできません」「分かります、ですが、お代はお支払ひいたしますから、ぜひ、そんなのを作ってください」「店長・・・」これがフランスだとどうなるか。店長を呼ぶよりも、むしろマニュアル言語からの逸脱が起こります。「では、あなたが席に持って行き、ご自分で作ればいいでせう」「いや、あなたに作っていただきたいのです」「あ、さう。ぢゃ、これでいいですか」(上の段をはづして取り替へる)「ありがたう。あなた、優しいね」「どういたしまして」
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「青空」マラルメ
永遠の青空の、澄ましきった皮肉は、花々のやうにのんきさうで美しいが、きびしく咎めてゐるのだ、苦痛の砂漠を不毛のままに越えてきて、自分の才能を呪ふ無力な詩人を。
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■三州生桑HP■
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