エロス断想

猫と美人を描いてゐます

冬の日

曇りのち雨。猫たちも寒からう。



梶井基次郎「冬の日」読む。ひとことで表現するならば「血痰文学」 レトリックを味はふ作品。
冬になって尭の肺は疼んだ。落葉が降り溜まってゐる井戸端の漆喰へ、洗面のとき吐く痰は、黄緑色からにぶい血の色を出すやうになり、時にそれは驚く程鮮かな紅に冴えた。尭は金魚の仔でもつまむやうにしてそれを土管の口へ持って行くのである。彼は血の痰を見てももうなんの刺戟でもなくなってゐた。が、冷澄な空気の底に冴え冴えとした一塊の彩りは、何故かいつもぢっと凝視めずにはゐられなかった。


滅多に本は買はないが、立ち読みするために本屋にはよく行く。週に三日は行く。今日はめづらしく文庫を買ふ。岩波の「ディキンソン詩集」 レジに近付くと、バイトの女の子の顔がみるみる赤くなった。ホントにユデダコみたいに。オロオロした様子で明らかに挙動不審。声も手も震へてゐた。丸顔の可愛い女の子だったが、何ぞや。強盗と思ったのか。或いは親の仇に似てゐたのかも知れない。



今の私は、読むより書く方に専念しなければならぬ。


裏山の栗は何故実をつけないのだらう?
畑の二本の桜も枯れかけてる・・・



■三州生桑HP■
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