エロス断想

猫と美人を描いてゐます

コレラの時代の愛

曇りのち晴れ、ジョギング
片目猫を久しぶりに見る。食欲旺盛。冬を乗り切れるかも


ガルシア=マルケス(1928- コロンビア)「コレラ時代の愛」読了
途方も無い傑作。作者独特のマジック・リアリズムを抑制した文体だな・・・と思って読み終へたら、作品そのものに魔術がかけられてゐた。ガルシア=マルケス恐るべし。歴代のノーベル文学賞受賞者の中で、最も機知に富んだ作家だらう。以下はまたしてもセックスの描写であるが、先日読んだ「菊豆」とは全く趣きの異なる独特な隠喩表現
彼女は彼を知り尽くしてゐた。通りを歩いてゐる哀れな盲人の手引きをするやうに、ベッドまで手を引いて導いてやり、悪意のこもった優しさで彼を料理し始めた。好みの量の塩と胡椒をふりかけ、ニンニクひとかけ、みぢん切りにしたタマネギをまぜ、レモン汁をしぼり、ローレルの葉を一枚加へる、大皿で味をなじませてゐる間に、オーブンがいい温度に温まった。家には誰もゐなかった。世界は二人だけのものだった。しかし、恍惚となって深淵に落ちる前に彼は我に返り、彼女の手を払ふと上体を起こし、ふるへる声でかう言った。「うっかりしてゐたが、スキンがないんだ」


昨夜遅く、酔ひにまかせて長めの文章を一気にアップした。すぐに削除したので読んだ人はゐないと思ひますが、見た人は忘れてください




■三州生桑HP■
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