エロス断想

猫と美人を描いてゐます

食人国旅行記

薄雲あれど暑し
プールに行けど入場せず。中から子供たちの歓声が聞こえてきたから。受け付けのバイトの女の子に訊いてみる。「今、多いよね?」「・・・」二人はクスクス笑って下を向いてしまふ。先生にでも似てたのか知ら


マルキ・ド・サド(1740-1814仏)「食人国旅行記」読了
主人公の少年が、誘拐された恋人を探しにアフリカに渡り、食人国と美徳の国を訪れる。食人国の描写は、サドの暗黒イマジネーションの爆発。興味深いのは美徳の国のユートピア礼讃。これは社会主義ですよ。サドに美徳が描けるとは知らなかった
「ちょっと、つかぬことを伺ひますが・・・この料理は、もしや、さっき祭壇の前に血を流して倒れてゐた、あの娘さんの腰の肉か尻の肉ではないんでせうか・・・?」「それがどうしたんだい?」とポルトガル人は、ねちねちした調子で言ひました。「そんなつまらんことを、君はいちいち気にするのかい? 郷に入っては郷に従へ、さ。これを忘れたら、生きていけないよ」「罰当たり!」


ラジオで興味深い話を聞く。平日の朝の小学校の職員室。或る生徒の母親から担任に電話がかかってくる。「もしもし、先生ですか。今日はウチの子休ませますから」「病気ですか」「いえ、今日はウチの子の誕生日ですの。主人も仕事を休んで、家族で一泊旅行に行くんです」「・・・」
この子が成長したら、「お父さんは、僕の誕生日に仕事を休んでくれたなぁ。優しいなぁ」と思ふのだらうか。或いは、この奥さんが「あなた! こどもの誕生日と仕事とどっちが大事なの!」と脅したのだらうか。言はせてもらへば・・・こんな父親は男として尊敬できない。
私から詩を取ったら、私が何も書かなくなったら・・・それこそどこにでもゐる、何の取り得もない、休日にはゴロゴロとテレビばかり見てゐる、何でも笑ってごまかす、平凡な「をっさん」になるだらう。アンリも相手にしてくれなくなるね。



■三州生桑HP■
http://www.h4.dion.ne.jp/~utabook/