エロス断想

猫と美人を描いてゐます

梅雨入りや

梅雨入りやこの一年も独りきり
梅雨どきの生まれなのです


チリ人作家ルイス・セプルベダ(1949-)「ラブ・ストーリーを読む老人」読了
読んでよかったと思へる良作
ジャングルの中でたった独り、インディオ同然に暮す老人の唯一の楽しみは、恋愛小説を読むこと
後半は巨大な山猫との死闘を描き、さながらジャングル版「老人と海」の様相を呈す
「おお、さうだ、死人のいざこざで危ふく忘れるところだった。本を二冊持ってきてやったぞ」老人の目に輝きが灯った。「恋愛ものか?」歯科医はうなづいた。アントニオ・ホセ・ボリーバル・プロアニョは恋愛小説が好きなのだった。そして、歯科医は巡回のたびに新しい本を持ってきてくれるのだった。「悲しい話しかな?」と老人はさらに聞いた。「大泣きに泣けるぞ」と歯科医は誇らしげに言った。「本気で愛しあってる恋人の話しか?」「これ以上ありえないほど愛しあってゐるさ」「苦しむのか?」「読むにたへないほどだったさ」


おみくじ引いたら「激吉」が出た
そんなのあるんやねぇ


「お付き合ひさせていただいてゐる」などと言ってもらへるやうな男とは、どんな大人物なのだらうか? 身長が3メートルぐらゐあるとか?


雨降る中、野良猫たちの様子を見にゆく
側溝の中はもぬけのからだった。安全な場所に移動したのだらう
公園の洗面所で垂れ目猫と母猫にカリカリをやってゐると、50メートルほど離れた所にうら若い女性が傘をさして立ってゐるのが見えた
彼女は私の姿を認めると、満面の笑みを浮かべて何度も会釈する
全然知らない女性である
背筋がゾーッとした
雨のそぼ降るたそがれどき、まったくひとけの無い公園
容姿の整った人で、長い黒髪だったから、狂女か幽霊に見えた
去ってゆく彼女の後ろ姿を見て合点が行った。リュックサックを背負ってゐたのだ
この女性も、公園の野良猫にエサをやってゐる人
私と同様、側溝が気になって、雨の中やって来たのだらう
しかし、私は誰にも見られないやうにカリカリを与へてゐるはずなのに、面が割れてゐるとは・・・
どこで誰に何を見られてゐるか分からないもんだねぇ


「僕が神の恩寵によって、或いは悪魔の恩寵によって詩人であるといふことが事実だとしても、僕が技巧と努力の恩寵によって、詩人たる一切を全力で実現させることによって、一個の詩人であるといふことも、これまた事実だ」フェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898-1936)



とにかく、今フリーなのかだけでも聞かないと身動きがとれないよ



■三州生桑HP■
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