エロス断想

猫と美人を描いてゐます

読了夜淫鳥

チリ人作家、ホセ・ドノソ(1924-96)「夜のみだらな鳥」読了
比類なき大傑作小説にして、今年一番の収穫なり
十日ほどで読めたが、何とも有意義で刺激的な十日間であった
主人公の男は聾唖者でありながら、人の話しを聞き、しゃべり、老人にして赤ん坊であり、80%の器官を手術で勝手に摘出されたと主張し、或る時は仮面、包みなどの無機物ともなり・・・錯綜、混沌、狂気、矛盾、グロテスク
まさに分裂病患者の見る悪夢であり、全てが疑はしく非現実的で、私の想像力も大いにかき立てられる恐るべき奇書
支離滅裂、荒唐無稽な長編であるが、キリスト教会やブルジョワに対する批評性も見られ、それぞれのエピソードの完成度、テンションが異様に高いので、ラストまで一気に読ませる
「おれの爪は出口を求めて、袋の内側を掻きまはす。爪が割れる。指から血が流れる。指先が裂け、節が赤く染まる。もう一枚、もう一枚、そしてもう一枚。やっと穴が開く。ところが外の手が、おれといふ包みを引っくり返し、ひとことも口をきかずに・・・その手が誰のものであるのか、それを教へたくないのだらう・・・ふたたび穴を縫ひふさぐ。おれを外へ出さないために。ひと針、ひと針、丁寧に縫ってゆく。おれは外に出て、その誰かの顔を見たいと思ひ、乱暴に足を突っ張る。かかとに精一杯の力を込めて、もう一つ穴をこしらへる。しかし、皺だらけの手はそれをも縫ってしまふ。ほかの手では考へられないクソ丁寧さで」


猫の姿が見えない代はりに、カラスが異常に多くなってゐる
ネコカラス戦争勃発か
カラスは連係プレーができるけど、野良猫は個人プレーしかできず助け合ふことをしない
今のところカラス軍が有利


女性から声を掛けられる
あのやうな自信はどこから出てくるのだらう?
笑ってやりすごしておく


「キヅナ」が本物であるのなら、「キヅナ」が運命であるのなら、三年間離れ離れでも・・・


■三州生桑HP■
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