エロス断想

猫と美人を描いてゐます

インド? インド!

お互ひに向上することのない関係・・・
それは、絆(きづな)ではなく、腐れ縁です
   §
M.K.シャルマ「喪失の国、日本」読了
サブタイトルは「インド・エリートビジネスマンの日本体験記」
実に面白い本です
読書家必読なり
「皆は、まづエビの天ぷらを食べるやうにと、ベジタリアンの私に言った。衣がついてゐたので、どんな生き物なのか私には見当もつかなかった。砂漠地方の生まれなので、エビの形さへ、実は知らなかったのである。私は意を決して、それを二本の箸ではさみ、恐る恐る口の中に放り込み、がぶりとやった。神をも恐れずに言ふのだが、正直に言って、それは素晴らしくうまかった」
「電車の中で週刊誌を読んでゐる男たちの仕草で興味深いのは、誰かがのぞき込んでゐるのを知ると、ヌードのページをさっと飛ばすが、指だけはそのページに挟まったままになってゐるといふことだ」
「シブヤの街を歩く彼女たちは、信じられないほど短いスカートをはき、胸元が大きく開いたシャツを着てゐた。「どこを見てるのよ、シャルマさん」「あ、いや、美しい肌かどうかチェックしてゐるのです」私はそれまで若い女性の腿を見たことがなかったので、さう答へるのが精一杯だった」
「驚いたことに、そのインド料理店のオーナーはパキスタン人だった。インドとパキスタンは、今も憎しみ合ひ、殺し合はうとしてゐるのに、彼は懐かしい友の心を以って応対してくれる。私は感動して彼に訊ねた。「どうしてあなたは、ムスリムヒンドゥーとのこだはりを持ってゐないのか」「インドとパキスタンの国境は、政治が作ったものに過ぎない。ここには国境も差別もない」彼は、さう答へた。私がその夕べ、どんなに幸せだったか、誰も想像することはできなかったらう」
   §
年賀状を出す
出してからポストを確認すると、集配は明日になってゐた
ま、何とか届くだらう
   §
前を走ってゐた大型トラックが急停止する
なかなか走り出さない
追ひ抜かうとしたら、トラックはゆっくりと動き出す
トラックの止まってゐた当たりに、猫が死んでゐた
頭だけが潰れてゐたから、即死だったのだらう
ほんの1分ほど前まで元気に走り回ってゐた茶虎猫


一寸先は闇だ


http://www.h4.dion.ne.jp/~utabook/