エロス断想

猫と美人を描いてゐます

クリシュトーフ・アーゴタ

アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」「第三の嘘」一気に読了
傑作なり
悪童日記」と合はせて三部作なのだが、こんな小説は読んだことがない
久しぶりに、読書の快楽にふけることができた
本格ミステリのやうな、めくるめく展開が飽きさせない
物語そのものの面白さ、文体、謎解きなど、様々な角度から論じられるだらうが、私をうならせたのは、複雑で多面的な解釈が可能な構成だ
かういふのをマネすると、安っぽいミステリになるんだよな
いやぁ、参った参った
現在、生存してゐる作家の中で、アゴタ・クリストフは最も重要な人物である


今日も、ささいなことではあるが色んなことがあった
良いこともあったが、私は、その良いことをスグに忘れてしまふのだ
これは、自慢して良いことなのではなからうか
悪いことは、さして無かった
これほど幸せなことが?


「カンムリカイツブリ」といふ鳥の名を憶えた
こんなことに意味があるだらうか?
私は、あのユーモラスな、気高い、可愛らしい、独特な、美しい鳥を見るたびに思ふのだ
あの鳥は「カンムリカイツブリ」なのだと
こんなことに意味を見出せるのは、詩人しかゐない


私は、この街で生まれたが、この街で育たなかったことを、本当に幸運だったと思ってゐる
ロクでもない街だ!
百姓と漁師と炭鉱成金の街
知性のかけらも無い街!
公共ルールもマナーも何も無い愚劣な街!
こんな街のために、私の貴重な時間を一分たりとも使ふつもりは無い
この街を出て行くチャンスがあったら、私はもう二度と戻ることはないだらう


■三州生桑HP■
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