エロス断想

猫と美人を描いてゐます

幽霊と空き缶

よく行く公園にビールの空き缶が捨てられてゐる
決まって同じ場所、決まって同じ銘柄だ
週に三回位その公園に行くのだけれど、拾っても拾っても、必ず二、三本捨てられてゐる
ほんの数十メートル先に、ゴミ箱があるのに
コーヒーの空き缶は、同じ銘柄のものが二本並べて捨てられてゐることが多い
カップルが捨てるのだらうね
似た者同士が愛し合ってゐるのだらうね
きっと、美男美女だらうね
こんな街、大嫌ひだよ!


北杜夫「幽霊」読了
今現在、こんな小説を、書く人も書ける人もゐないだらうし、喜んで読む人もゐないだらうし、出す出版社もないだらう
ちなみに、初版は自費出版である
若書きの感はいなめないが、興味深く読んだ
傑作「楡家の人びと」の習作といふ感じかな
やっぱり小説といふものは、斯くの如く、苦心慘憺して書かねばならない


■三州生桑HP■
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