エロス断想

猫と美人を描いてゐます

デオデオ安吾

坂口安吾恋愛論」読む
通俗なり
「恋愛は、人生の花であります。いかに退屈であらうとも、この外に花はない」


それよりも「刺青殺人事件を評す」の方が興味深い
これは高木彬光の「刺青殺人事件」を酷評した文章である
これを読むと、安吾横溝正史を高く買ってゐたのが分かる
「日本では、横溝君が、トリックの構成、文章ともに、頭抜けてをり、外国の探偵作家と並んでヒケをとらない充分の力量をそなへてゐる」


そして、この文章の中で一番面白いのは、このくだり。
「古墳殺人事件 これは、ひどすぎるよ。私にこれを読めといふ、宝石の記者は、まさに、こんなものを人に読ませるなんて、罪悪、犯罪ですよ。罰金をよこしなさい。罰金をよこさないと訴へるよ」
この「古墳殺人事件」といふのが、何なのか分からないけれど、この安吾の怒りはよく解る


中学生の時の話しだ
私は、自室で、或る本を読まうとしてゐた
それは、母が図書館から借りてきたばかりの本で、それを横取りしたのである
ページを繰って、3行読んだところで読めなくなった
目が読むことを拒否するのだ
私は部屋から飛び出し、母に「何だよこれ。こんなもの読めない!」と怒鳴った
母はびっくりしてゐたが、次の日になって「ほんとに読めないわね」と言ふ
「最近よく売れてるみたいだから、試しに借りてみたのよ」


少年の私は、無性に腹立たしかった
こんなものを書く作家を、作る出版社を、売る本屋を、買ふ読者を、そして批判しない作家たちを、つまり、当時の出版業界といふものを心の底から軽蔑した
その時、中学生の私は誓ったのだ
もう、生きてる作家の本は読まない!
そして私は詩人になった


私が詩人となったのも、この作家のおかげである、と言って言へなくはないね
その作家の名前は「赤川次郎」である
「こんなものを人に読ませるなんて、罪悪、犯罪ですよ」


デオデオに行って、インクジェット用紙とCD-Rディスクを買ふ
CD-Rは20枚で980円であった
しかし、レシートでは1380円になってゐる
店員と一緒に、商品の棚を確認すると、彼は「980円」と書かれたタグを横にツーッと動かして、スイマセン位置がズレてました、と言った
面倒だからそのまま買ったけれど、こんな商法は・・・まぁいいか
この店に行くたびに、不愉快な思ひをする


「知識の無い人を蔑んではならない。その人が学ばうとしてゐるのならば」


■三州生桑HP■
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