エロス断想

猫と美人を描いてゐます

差別意識といふもの

昨日、図書館で漢詩の資料を調べてゐたら、ふと或る出来事を思ひ出した
この街に来る前の話しである


その日もまた、私は図書館で調べ物をしてゐた
季節は今頃だっただらう
館内には、浪人生とおぼしき若者が何人もゐる
私の席の向かひ側でも、男の子が一所懸命に勉強してゐた


館内のどこかから、男の声がする
酔ったやうな、ろれつの回らぬ声
どうやら独り言らしく、その声の主は、だんだん私のゐる方へ近づいてくるやうだった
人の気配を感じ、顔を上げると、いつの間にかその声の主が私の横に立ってゐた
老人だった


その老人は真っ黒に日焼けしてゐた
赤い、派手なアロハシャツを着て、麦わら帽子をかぶってゐる
ガリガリに痩せてゐて、目が異様に大きく、骸骨に薄い皮膚を貼り付けたやうな顏付きをしてゐた
そして、あの臭ひ!
ホームレスだったのかも知れない


何がをかしいのか、老人はしばらく私の顔をニヤニヤ笑ひながら見てゐた
何といふ、いやらしい笑ひ方だったらう!
私は、その老人を黙殺した
すると、彼は私の向かひにゐる少年に声をかけた
「お前、朝鮮人やろ」


朝鮮人が、何でここにをるんや。ここは日本の図書館やで」
気が狂ってゐるのだ、と私は思った
老人は、同意を求めるかのやうに、私の方を時折りチラチラ見ながら、執拗に少年に因縁をつける
「なあ、朝鮮人は出て行けや」
こんな気違ひに目をつけられてしまった、この少年が可哀想だった
少年は、じっと俯いてゐたが、やがて老人をにらみつけると、かう言った
「ここの職員にも、朝鮮人はゐるぢゃないか!」


私は唖然とした
二人は知り合ひなのか
この老人は気違ひではなかったのか
少年は震へてゐた
老人は、相変はらずニヤニヤと笑ひながら、差別的発言を繰り返してゐる
私は何も言へなかった
男性職員がすっ飛んできて、老人を抱へるやうにして連れて行った
私は、あのやうな、頑固で陋劣な、或る意味純粋な「差別意識」に触れたのは初めてだった


私は思ふのだ
あの老人も、その一生涯の間、何ものかから差別されつづけてきたのではなかったらうかと
§
母の調子が、また悪くなった
朝から寝込んでゐるので、私が家事をする
洗濯、炊事、拭き掃除、買ひ物など
三連休はこんな感じかな


「不自然な結婚は必ず崩壊する」


たうとうカウンターが、1日200回を超えてしまった
どうなってをるのか
↓三州生桑HPの方は、1日10回くらゐしか回らないのに・・・


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