本屋に寄る
立ち読みするために
駐車場に車を停めると、次いで隣に軽が停まった
運転席を見れば、なかなかの美人が乗ってゐる
二人同時に車を降り、私が数歩先を歩く
振り返ると目が合ふ
やはり美人だ
二、三歩歩いて、再び振り向くと、サッと目を逸らされる
文庫コーナーにて、乙一の短編を読む
特に感想は無し
読むのに15分ほどかかったらうか
先ほどの美人が、私の横に立って本を読み始める
何を読んでゐたのだらう?
私は、通り過ぎざまに、彼女の読んでゐる本を覗き込んだが、何の本かは分からなかった
その方が良かったのかも知れない
この本屋は、なぜか美人の出現率が高い
貴重な本屋だ
正岡子規の「仰臥漫録」を拾ひ読む
子規、晩年の日記である
彼は、医者から生きてゐるのが奇跡と言はれるほどの状態でありながら、食べる食べる
そして、出す出す
「便通、山の如し」とは恐れ入る
寝返りも打てないのだから、下の処理は母と妹がする
しかも、重度の歯槽膿漏だったやうだ
子規の部屋には、耐え難い臭ひが満ちてゐたのではないか
それなのに、毎日のやうに弟子たちが面会に来る
師弟関係といふのは、強いものであるなあ
つづいて、ジョルジュ・バタイユの「マダム・エドワルダ」を立ち読み
性的逸脱の物語
傑作とは思ふが、何も娼婦を買はなければ、逸脱の快楽を得られないわけではあるまい