●さて何とせうぞ 一目見しおもかげが身を離れぬ
●な見さいそ な見さいそ 人の推する な見さいそ
●恋は重し軽しとなる身かな 重し軽しとなる身かな 涙の淵に浮きぬ沈みぬ
●恋風が来ては袂にかいもとれてなう 袖の重さよ 恋風は重いものかな
●思ひのたねかや 人の情け
●思ひやる心は君に添ひながら 何の残りて恋しかるらん
●思ひ出すとは忘るるか 思ひ出さずや忘れねば
●思へど思はぬふりをしてなう 思ひ痩せに痩せ候
●扇の陰で目をとろめかす 主ある俺を何とかしようか しようかしようかしよう
●ただ人は情あれ 夢の夢の夢の 昨日は今日の古 今日は明日の昔
●ただ人には馴れまじものぢや 馴れての後に 離るるるるるるるるが 大事ぢやるもの
●添うてもこそ迷へ 添うてもこそ迷へ 誰もなう 誰になりとも添うてみよ
●思へば露の身よ いつまでの夕なるらむ
●ふてて一度言うてみう 嫌ならば われもただ それを限りに
●逢ふ夜は人の手枕 来ぬ夜はおのが袖枕 枕あまりに床広し 寄れ枕 こち寄れ枕よ 枕さへに疎むか
●一夜来ねばとて とがもなき枕を 縦な投げに 横な投げに なよな枕よ なよ枕
●恋の行方を知るといへば 枕に問ふも つれなかりけり
●君を千里に置いて 今日も酒を飲みて ひとり心をなぐさめん
●憂きも一時 うれしきも 思ひ醒ませば 夢候よ
●申したやなう 申したやなう 身が身であらうには 申したやなう
●あまり言葉のかけたさに あれ見さいなう 空行く雲の速さよ
●しやつとしたこそ 人は好けれ
●人の心は知られずや 真実 心は知られずや
●うらやましや わが心 夜昼君に離れぬ
●来し方より 今の世までも 絶えせぬものは 恋といへる曲者 げに恋は曲者 曲者かな 身はさらさらさら さらさらさら さらに恋こそ寝られね
●花見れば袖濡れぬ 月見れば袖濡れぬ 何の心ぞ
●泣くはわれ 涙の主はそなたぞ