2006-01-24 植物園にて 私が植物園で花の写真を撮ってゐると、老人が話し掛けてきた。 「ホウ、小さなカメラですね。デジカメですか」 無視してゐると、更に話し掛けてくる。 「まだフィルムカメラの性能には敵はないでせうな」 そこで私はかう言った。 「私は人間が大嫌ひなのです。特にあなたのやうな老人がね」 彼は泣きさうな顔をして、背を丸めながら去って行った。 一人の人間が、かくも深く傷つけられたといふのに、私の目の前の花々は依然として美しいままだった。