エロス断想

猫と美人を描いてゐます

2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

月光

月の満ち欠けなど錯覚 満月も三日月も月は月月が ずっと満月のままだったら 或いは月など無かったら それはそれで幸せだったかも知れないしかし 今夜も月は独り苦しんでゐる太陽を 無邪気に信じる人間どもめ!月光は月の悲鳴今夜も月は独り苦しみつづける

酔ひどれ詩人

I taste a liquor never brewed ――― Emily Dickinson未だ醸されぬ酒を、私は味はふ・・・ エミリ・ディキンソン §彼女は月光のシャンパン 酌めども尽きぬ美しさ 如何なる美酒も及ばぬ味二年前に彼女を見初めてから 私は、ずっと酔ひつづけてゐる 何といふ心…

珈琲

珈琲さへ飲まなければ子供は死ななかった珈琲さへ飲まなければ指は無くならなかった珈琲さへ飲まなければ妻を刺さずにすんだ珈琲さへ飲まなければ珈琲さへ飲まなければぐっすりと眠れた珈琲さへ飲まなければ面接に受かった珈琲さへ飲まなければ胃癌にならな…

湖水のほとり

凍りかけてる湖水のほとりで ゆらゆらゆれてるあれは何?あれは仔牛の頭蓋骨 あれは仔牛の頭蓋骨ポッカリ開いた眼窩から 無常があふれ出てゐます冬冬冬冬 仄かな幽かなあの音は?季節はづれの雹が降り 骨をいぢめてゐるのですあの骨は泣いてゐるのか知ら?言…

明日を信じてはいけません

愛しい人よ明日を信じてはいけません 確かなのは今日だけです 大切なことを先延ばしにしてはいけません 明日が来るといふ保証はどこにもないのです しをれぬ薔薇などありません しをれぬ薔薇などまがひもの愛しい人よ将来を語る男を信用してはいけません 今…

孤枕恋恋

孤枕恋恋孤枕無安息 詩人悶徹宵 小窓風瑟瑟 寒樹雨蕭蕭 微睡憂千夜 半醒嘆一朝 詩成空恋慕 出語是無聊 孤枕恋恋孤枕 安息無し 詩人 宵を徹して悶ゆ 小窓 風瑟瑟 寒樹 雨蕭蕭 微睡 千夜を憂ひ 半醒 一朝を嘆く 詩成りて 空しく恋慕す 語出せど 是れ無聊